アナイス第三話 - 物語と香り アナイスアナイスに憧れて 第三話  彼女のヒミツ

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物語と香り アナイスアナイスに憧れて 第三話 彼女のヒミツ

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第三話 彼女のヒミツ

店長「久し振りですね、佐々木さん」

佐々木「店長さん。ご無沙汰してます」

店長「この間の和製油はどうですか? 確か、青森ひばの香りでしたよね」

佐々木「おすすめしていただいた通り、眠る前に使ってます。おかげさまで前よりぐっすり眠れるようになって……

 

 嬉しそうに喋る佐々木さんの横顔をぼんやり眺める。

 

二人の会話には、私にはわからない言葉が飛び交う。エッセンシャルオイル。キャンドルがどうのエトセトラ、エトセトラ。

なんだかよくわからないけど、やけに女子力を感じるワードの応酬。

 

たぶん、私は圧倒されていたんだと思う。そして恐らくは、その気持ちが顔に現れていたんだろう。

不意に私をちらりと見やった佐々木さんが、噴き出すように笑い出した。

 

佐々木「ごめん、春日さん。そんな顔しないで。

 店長さん。今日は私じゃなくて、彼女の香りを探してもらえますか?」

店長「もちろん。では、こちらへどうぞ」

 

 店長さんは丁重に腕を広げて、店の奥へ私を導く。キャンドルの並ぶ店内は幻想的で、まるで夢でも見ているみたいだ。

 

春日「私の香り……?」

 

 半ば夢うつつ気分で呟いてみる。

 促されるがまま椅子に腰を下ろす。

 

佐々木「春日さんは、どうしてウチの会社に来たんだっけ。面接のとき話してくれたよね、確か」

春日「ええと……

 

たどたどしく記憶を辿る。思うのは、初めて佐々木さんと出逢った面接の日のこと。

 どんな話をしたっけな。……そうだ、前職の話をしたんだっけ。

 

 私が前にいた会社も、そう悪い会社じゃなかった。ただ、キャリアの可能性を考えると、どうしたって男性のほうが強い社風だった。

前職では、どちらかといえば女性はサポート役で、結婚や子育てと共に退職していくのが当たり前だという風潮だった。

そして私は、そんなところに息苦しさを感じてしまった。

 

 格好いい女性として働きたい。

 しっかり、それでいて女性らしさは大切にしながら、自分らしく生きてみたい。

 

 ――そんな想いで、私は今の会社への転職を決めたんだ。

 

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